フランス人が愛する定番シャルキュトリ「リエット」を知っていますか?

リエットはフランスで愛されている代表的なシャルキュトリの一つ。ペースト状で、ディップのようにして野菜につけたり、クラッカーやバゲットに乗せたり、サンドイッチに挟んだりして気軽に味わえるのが魅力です。今回はフランスの食生活に欠かせないリエットについてご紹介します。

保存食として誕生したリエットとは?

フランスの代表的なシャルキュトリ(食肉加工品)の一つであるリエットは、もともと保存食として生まれた伝統料理。角切りやみじん切りにした豚のバラ肉や肩肉に、強めに塩を振り、脂肪(ラード)の中で長時間弱火でじっくりと加熱し、肉が簡単にほぐれるようになったら、脂肪分がペースト状になるまで冷まして完成です。ラードがふたとなって肉が空気に触れるのを防いでくれるため、長期保存が可能に。適切に管理すれば、数カ月間保存することができます。

もともと塩とコショウだけのシンプルな味付けですが、各地域のレシピ、特に現代のレシピでは、スパイスやハーブ、ワインなどの蒸留酒や調味料、香料などで風味を付けることも多いようです。細かく刻んだピクルスやクリームチーズと混ぜたり、レモン汁を絞ってさっぱり仕上げたり、アイデア次第でさまざまなアレンジを楽しめるのが魅力です。

豚肉以外にも、ジビエや魚介まで種類豊富

リエットといえば伝統的に豚肉を使用しますが、バリエーションも増えています。豚肉だけではなく、鶏肉(ガチョウ、鶏、アヒル)やジビエ(シカ、イノシシ、ウサギなど)のほか、魚介類(サーモン、マグロ、タラ、サバ、カニ、ホタテ)を使ったものも人気を博しています。魚介のリエットは、クリームチーズなどと合わせたり、生クリームとオリーブオイルで煮込んだりして、白ワインやレモン汁、ディルやピンクペッパーなどで香りづけをします。長時間煮込むことで保存食として受け継がれてきたお肉のリエットと比べると、魚介のリエットは家庭での手作りも簡単です。

とはいえ、フランスではどこのスーパーにも瓶詰めや缶詰のリエットが豊富にそろっています。バゲットやクラッカーに塗ってアペロ(アペリティフ)のお供や、サンドイッチやパスタなどの軽食に。作り置き、買い置きしておけば何かと便利なのがリエットなのです。

文学作品にも多数登場してきた愛され料理!

フランスのシャルキュトリは長い歴史を持つものが多いですが、リエットも例外ではありません。リエット(rillette)という言葉は14世紀にはすでに登場していて、その語源は古フランス語の「レイユ(reille)」(細切れ)から派生した「リーユ(rille)」(豚肉の断片/欠片/一切れ)。リエットは、現在のトゥーレーヌで、先祖代々受け継がれてきた農村の習慣から15世紀に生まれたと言われていて、リエットの語源である「rille」もトゥーレーヌにあります。

16世紀に活躍した作家ラブレーは“茶色い豚肉のジャム”について語り、バルザックは『谷間の百合』(1836年)の中でトゥールのリエットを賞賛しました。今でもその著作が文法書の基礎となっている19世紀の文法家ルイ=ニコラ・ベシュレルによる『Dictionnaire national』(1845年)の中では「リエット」の名前が正式に登場し、「豚肉の脂身と赤身を使ったシャルキュトリ」として調理法まで詳しく書かれています。20世紀を代表する傑作とされているプルーストの長編小説『失われた時を求めて』の中でも、トゥールのリエットの評判について言及されています。リエットといえばトゥールのリエット、だったようです。

公式に本家認定されているトゥールのリエット

トゥールのリエット(Rillettes de Tours)は、豚の赤身を短冊状にカットし、豚の脂身(ラード)で4時間以上、長い場合は12時間ほど煮込みます。トゥールの伝統的な製法では蓋をせずに煮込むため香ばしい褐色に仕上がるのが特徴で、伝統的に「ヴーヴレイ(Vouvray)」(トゥーレーヌ地区・ヴーヴレイ産の白ワイン)で風味付けされます。

2013年11月15日以降、トゥールのリエットは、トゥーレーヌ地区(かつては州、トゥールがその州都)がリエットの起源であり、伝統であることを正式に認められた地理的表示保護(PGI)の恩恵を受けている唯一の製品となっています。つまり、公式にリエットの発祥がトゥーレーヌであると認定されたということです。トゥールでは毎年リエットコンテストが開催され、リエット発祥の地として情熱と誇りをもっておいしいリエットを追求しています。

ル・マンのリエットも有名

リエットの故郷はトゥーレーヌですが、世界三大レースの一つ「ル・マン24時間レース」の開催地として知られているフランス西部のル・マンを中心としたサルト地方もリエットで有名です。ル・マンでは19世紀末以降にトゥールのオリジナルレシピを借用してリエットが大量生産されるようになったため、産地としてはトゥーレーヌよりも高い知名度があります。ル・マンのリエット(Rillettes du Mans)は、金茶色やピンクグレーの薄い色合いが特徴で、角切りにした豚の赤身に焼き色をつけ、その脂でゆっくりと一定の温度で少なくとも5時間は加熱します。リエット自慢の多くのビストロが軒を連ねているので、リエット食べ歩きが楽しめますよ。

そのほかにもリエットが根付く地域は多く、スタイルに違いがあります。そんなところもフランスの郷土料理らしい魅力。ぜひいろいろなリエットを楽しんでみてください。

A TABLE!では、ハーブが香るまろやかなポークリエットのほか、真鯛やスモークサーモンを使った魚介のリエットも含む7種アソートメントをご用意しています。丁寧な調理で引き出した上質な素材のハーモニーと、食材由来の鮮やかな彩りはちょっと特別なアペロやディナー、パーティーにぴったり。ぜひ一度、本物の味わいを体験してみてください。

リエット&スプレッド 7種アソートメント

(参考)