おいしくなるワインの飲み方~「キャラファージュ」と「デカンタージュ」の違い~

同じワインでも、よりおいしく味わうためのちょっとしたコツがあります。その一つが、ワインを別容器に移し替える「キャラファージュ」と「デカンタージュ」。混同しやすいイメージがありそうですが、その違いは実に明瞭。ぜひ活用してみてください。

ワインを別のガラス容器、キャラフに移し替える

ワインをよりおいしく飲むために、別の容器に移し替えてから飲むことがあります。その行為には「キャラファージュ(carafage)」と「デカンタージュ(décantage)」(※デカンタシオン(décantation)とも)の2種類があり、それぞれ目的が全く異なります。日本ではワインを移し替える容器を英語のdecanterから「デカンタ」あるいは「デキャンタ」と呼びますが、フランス語では、水差し、ピッチャーを意味する「キャラフ(carafe)」と言います。「別の容器に移し替える」という作業が共通していることもあり、キャラファージュとデカンタージュを混同してしまうのも無理はありません。その違いを見ていきましょう。

「キャラファージュ」の目的は、ワインを空気に触れさせること

キャラファージュは、ワインを空気に触れさせ、「呼吸」させるために行うものです。ワインが入ったグラスを円を描くように回し、ワインに空気を含ませる光景を目にしたことはありませんか? ワインは空気に触れさせることで、ワインに特徴的なガスを排出し、風味を「開く」ことができるのです。キャラファージュによってよりおいしくなるのは、主に若いワイン。白ワインなら酸が多すぎ、赤ワインならタンニンが立ちすぎるなど、味わったときに少し角張った印象を与えるもの。ヴァンナチュール(vin nature)の中にも若いうちに飲むことを前提に作られたワインも増えていますが、そういったワインにもキャラファージュは効果的です。若いワインを酸素に触れさせることで、熟成のタッチを与え、顕著になりすぎた酸味やタンニンの強い渋みを和らげることができます。

上手なキャラファージュのコツ

アエラシオン(aération:空気にさらすこと)が目的のキャラファージュには、クラシックな形、つまり底が広く、ネックがフレア状になっているキャラフを使用します。ワインが空気を触れる面を広く取ることで、効率よくアエラシオンを行えるのです。

ワインを入れたキャラフは、水を張ったバケツに入れ、定期的に氷でリフレッシュすると理想的な温度に保てます。辛口の白ワインは11〜12℃、赤ワインは16〜17℃がベスト。2温かい部屋では、ワインの温度がすぐに上がってしまうので、少し冷えた状態で提供するのがオススメです。キャラフの中で寝かせる時間はワインによって異なります。飲む数時間前に行うこともできますが、やりすぎてしまうと後戻りはできないので、寝かせすぎないようご注意を。

なお、赤のブルゴーニュはキャラファージュしない方がいいようです。ピノ・ノワールは、激しい酸素補給に耐えられないデリケートな品種。ブルゴーニュの場合は、2時間以上前にボトルを半開きにしておきましょう。香りが逃げやすい揮発性の高いワインもキャラファージュは不要です。

沈殿物を分離させる「デカンタージュ」は難易度高し!

一方、デカンタージュは、ワインから不要な沈殿物を分離することが目的です。ただ、古いワインをキャラフに移し替えるのは、非常にデリケートな作業。ワインの専門家にとっても非常に難しく「高貴」とされる行為で、世界一のソムリエを決めるコンクールでは、デカンタージュが重要な審査項目と位置づけられているほど。そもそもデカンタージュの前に、ワインがそれに耐えられるかどうかを判断する必要があります。古くて繊細なワインの場合は、一歩間違うと、おいしく飲むどころか取り返しのつかないダメージを与えるおそれがあるのがデカンタージュなのです。

古いワインはすでに十分熟成しているので、無駄に空気に触れさせないようにする必要があります。繊細なアロマを飛ばさないため、デカンタージュを行うタイミングは、飲む直前。

キャラファージュの場合とは逆に、幅の狭いキャラフを選び、ゆっくりと慎重に、静かにワインを注ぎます。

古いワインは飲む24時間以上前からボトルを立てておき、沈殿物をボトルの底に沈ませておくとスムーズ。それだけでデカンタージュの必要がない場合もあります。また、古いコルクは壊れやすいので、良いコルク抜きを用意して、コルクが崩れないように優しく丁寧に扱う必要があります。開栓後は、試飲してみて、ワインがデカンタージュに耐えられるか判断を。デカンタージュをしない方がいいと判断した場合は、コルクを抜いたまま瓶の中でゆっくりと酸素を供給しましょう。

ワインは早めに飲みきろう

ワインは古ければ古いほど早めに飲み切るのがベター。原則として、若いワインでも早めに飲みきるのがベターですが、翌日以降にもボトルをとっておきたいこともあると思います。その場合は、ワインを酸化から守る必要があります。いろいろな方法がありますが、最もシンプルで安価なのは、ボトル内の空気を排出させる小型のポンプを使うこと。冷蔵庫で保管して、早めに飲んでくださいね。

デカンタージュは専門家でも難しい技術ですが、キャラファージュは日常的なテーブルワインをおいしく飲むために気軽に活用できる方法です。ぜひ手頃なワインをおいしく味わってくださいね。

(参考)